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トルコ産トマトのおいしさ
トルコの太陽とトマトの秘密
トルコの市場を歩くと、どこからともなく漂うトマトの香りに気づく。真っ赤に熟れたトマトが、ざるに山盛りにされ、まるで宝石のように輝いている。手に取るとずっしりと重く、触れるだけで果肉の詰まった感触が伝わってくる。口に入れると、甘みと酸味のバランスが絶妙で、濃厚な味わいが広がる。日本で食べるトマトとはまるで別物だ。この違いはどこから生まれるのだろうか。
まず、トルコの気候がトマトの味に大きな影響を与えている。トルコは地中海性気候に属し、夏は乾燥して日照時間が長い。この強い太陽が、トマトの糖度をぐっと引き上げるのだ。さらに、火山灰を含む肥沃な土壌が、トマトの栄養価と風味を深めている。畑を訪れると、太陽をいっぱいに浴びて育つトマトたちが、自然の恵みをたっぷりと蓄えているのがよくわかる。
また、トルコの農家は伝統的な栽培方法を大切にしている。市場で出回るトマトの多くは、化学肥料や農薬を最小限に抑え、昔ながらの方法で育てられている。さらに、流通の都合上、未熟なうちに収穫されがちな日本のトマトとは違い、トルコでは完熟してから収穫されることが一般的だ。畑でしっかり熟したトマトは、風味が濃く、香り高い。
そして、トマトがトルコの食文化に深く根付いていることも、おいしさの秘密かもしれない。トルコ料理には、トマトをたっぷり使うメニューが数多く存在する。ペースト状にしたり、煮込んだり、生で食べたりと、その用途は実に幅広い。だからこそ、生産者も味の良いトマトを育てることに情熱を注ぐのだ。
旅先で食べるものは、なぜか特別に感じられるものだが、トルコのトマトには、そうした旅の高揚感だけでは語れないおいしさがある。太陽と土と、人々の手が生み出すこの味を、一度でも経験すれば、その鮮烈な甘みと香りが記憶に深く刻まれることだろう。